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ichinicsの主にマンガ日記

「LINBO THE KING」1巻

『千年万年りんごの子』の田中相さんが描く近未来アクションSF。
物語の舞台となる2086年のアメリカでは、かつて多大な犠牲者を出した、人の記憶を食い荒らす奇病「眠り病」が再発しつつあった。
任務中に片足を失うという事故にあった主人公は、その眠り病を治療する「ダイバー」の「コンパニオン」にスカウトされる。

LIMBO THE KING(1) (KCx)

LIMBO THE KING(1) (KCx)

スカウトの理由は、「LINBO THE KING」と呼ばれる伝説的なダイバーとの適合率が非常に高かったこと。
会えばわかると思うよ、と言われて半信半疑で会いに行き、「そう」だとわかる場面はとても印象的でぐっときます。しかもこの2人がまったく正反対のタイプでそういう対称的な2人が運命のタッグってすごくいいですよね…。
1巻では2人が始めてのダイブに挑むまでが描かれているため、眠り病の治療過程についてはまだ詳しく描かれていないのだけど、どうやらダイバーとコンパニオンは2人1組で治療に当たるという仕組みになっていて、ダイバーには人の記憶に関与できる能力があり、コンパニオンにはダイバーを現実世界に連れ戻す能力があるようです。

その記憶世界の不気味さ、特に「連想の扉」の場面などはとても見ごたえがあるので、「記憶」の世界を扱った作品、例えば三宅乱丈『ペット』や映画『インセプション』などが好きな人にはぜひおすすめしたい作品です。

この作品は1巻が出る前に友人から「バナナフィッシュ好きなら」とオススメされた作品でした。
そのときは田中相さんでバナナフィッシュ? と少し疑問に思ったのですが、確かにアメリカを舞台に描かれていることや主人公たちの会話のテンポ感など、雰囲気はバナナフィッシュなどの、80年代後半にあった海外を舞台に描かれる少女マンガに近いところがあると思いました。
というところでふと昔コミティアで買った田中相さんの本を見返してみたら、それもアメリカが舞台だったので、きっと暖めてきた舞台設定なのだろうなとも思います。
テーマ的にも物語の雰囲気としてもとても好みの作品なので、続きがとても楽しみです!