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ichinicsの主にマンガ日記

「それでも町は廻っている」16巻(完結)/石黒正数

約10年間、発売と同時に単行本を読み続けていた『それでも町は廻っている』の最終巻を読みました。
長い連載を締めくくるのって、きっとすごく難しいと思うのですが、この16巻はとても、“それ町”らしい終わり方だったと思います。
真田君への片思いについて、ついにタッツンが歩鳥に物申すという友情(打ち合ってお前けっこうやるな的な)展開があり、進路について悩むことで仄かにこの生活の終わりと物語の外にある未来が提示され、ほろっとさせたところでコメディを貫き、でも最後に夢を見せてくれる。

第1巻の発売は2006年ですが自分の日記を見返してみると私が読み始めたのは2007年からのようでした。
1巻を買った場所はよく覚えている。当時の勤め先最寄りの書店2階に平積みになっていてポップを見て、面白そうだなと思って買ったのでした。そのとき隣に並んでいたのが『未来日記』だったのも何か印象に残っている。
1巻の感想を見返してみると「ドタバタコメディ」なんて書いているけれど、10年たって最終話を読み終えてみると、その印象はかなり違う(と思って2巻からの感想見返したら毎回「1巻読んだときの感想が嘘みたい」って書いてたけど…)。
コメディでありつつ、ミステリーだったりSFだったり、1話ごとに様々なアイデアが詰め込まれていて、読後の印象もそれぞれに違う。特に――って毎回書いてるのですが、9巻に収録されている「大人買い計画」というお話がとにかく好きで、そのときの感想を見ると

ミステリーから幻想文学になってSFで締める。星新一さんのショートショートを思わせる贅沢な短編でした。
http://ichinics.hatenadiary.com/entry/20110906/p1

って書いてあって、そんな風に、ほんと色んな読み方ができる、お花見弁当のようなシリーズでした。

長い連作作品は「日記」に似てるなと思うことがあります。
エピソードを誰の視点でどんな風に切り取るかで見え方は全く違うし、登場人物はほぼ一定だけど、起こる出来事は毎日違う。そしてその連なりを見ているうちに、その町や、人物のイメージが、掘り出されるように露になっていく。
新刊が出るたびに感想を書いてたわけじゃないけど、それなりに「この巻のこの回が面白かった!」とか日記に書いてあるのもアルバムみたいで、つまりこの10年はいずれ、丸子商店街の喫茶シーサイドに通ったなぁと、思い出す10年なのだと思います。

最終巻でも触れられているとおり、掲載順序は時系列順ではない…ということも知られていますが、いつかその時系列順に読み直してみたいなとも思っている。それで新たな発見があるのかないのか。なくてもそれはそれで。
石黒正数さんのこれからの作品もとても楽しみにしています。

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