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ichinicsの主にマンガ日記

『悪魔を憐れむ歌』1巻/梶本レイカ

『コオリオニ』で知った梶本レイカさんの新連載作品。
『コオリオニ』が話題になった時によく言われていたように、香港黒社会ものや韓国ノワール映画が好きな人にはたまらない作品ではないかと思います。

悪魔を憐れむ歌 1巻 (バンチコミックス)

悪魔を憐れむ歌 1巻 (バンチコミックス)

『悪魔を憐れむ歌』は、『コオリオニ』と同じく北海道警察を舞台に、人体が箱型に折りたたまれて発見された未解決連続殺人事件、通称「箱折連続殺人事件」を追う主人公の物語。
一匹狼な主人公がそうとは知らずに真犯人に接近してしまうまでが第1巻で描かれているので、謎解きというよりは主人公がこれから巻き込まれていくであろう運命や、真犯人の目的があかされていく過程が今後の主題なのだと思います。

『コオリオニ』以降に過去作品もいくつか読んだのですが、たぶん作者は正義/悪、正気/狂気などが表裏一体となった、人のどうしようもなさ、業のようなものを描こうとしている人なのだと思う。その境目が反転するような瞬間の描き方が強烈で、正直1巻の段階ですでに読みながら思わず本を閉じたくなるような場面もあった。
けれど、この物語を作者がどう描いていくつもりなのか、それは絶対に読みたいと思う強い引力のある作品でもありました。

ホラー、サスペンス、ミステリーのどの要素がメインのお話になるのかはこれから次第だと思いますが、どれも構成の上手さが物語の面白さに如実に反映されるジャンルだと思うし、『コオリオニ』も過去と現在を行き来する語り口が、幾度読んでも完璧な編集だと感じたので、そういう点にも注目して読みたいなと思っています。
何より、『コオリオニ』で一度活動休止、という話も出た中で、こうして新連載が読めるのは本当にありがたいことだと思う。作者のサイト(http://tito.kilo.jp/)にあるメッセージもぐっときます。
続きが本当に楽しみです。

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