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ichinicsの主にマンガ日記

「かしましめし」1巻/おかざき真里

あるきっかけで再会した元同級生3人がごはんをともにするようになる…というお話。
好きな人たちとおいしいご飯を食べる時間を通して、その底にあるそれぞれの悲しさとか切なさみたいなものがじわじわと癒えていく。

私たちは何度も生き返る
小さく小さくくりかえし 生まれ変わる

という冒頭の言葉の通り、ご飯を食べ、血肉とすることで、人の身体は少しずつ入れ替わっていく。そういう希望を描いたお話なんだろうなと思います。
特に、何か悩んでいることがあったとしても、それを口にすることが友情、みたいに描かないのがほんとうに優しくて好きだな…と思った。それぞれの問題はそれぞれに抱えていくこと、というのはおかざき真里さんのお話に共通するテーマのようにも感じます。

特にぐっときたのが、主人公の1人である男性が

カミングアウトする時は……
―-特に親に
「楽しい人生」を演じ続ける覚悟がなきゃだめよ

と言われるシーン。
セクシュアリティの問題だけでなく、マイノリティであることを選択するというのは多かれ少なかれそういうところがあって、
もし少しでも弱音を吐こうものなら「ほら間違っていたでしょう」と言われるんじゃないか、と気をはってしまうところが、あるように思う。
自分のあり方を後悔しているわけじゃないのに、「楽しい人生」を演じなければということを重荷に感じてしまう。
そのジレンマが苦しくて、でもそれを描いてくれてありがとうございます、と思いました。

あとこの「かしましめし」は出てくるご飯がどれもとてもおいしそうで、なおかつ作り方もかいてあるのが最高です!
なんと1巻なのでまた続くんですよね、嬉しいなぁ!
続きもとても楽しみです。