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ichinicsの主にマンガ日記

「違国日記」1巻/ヤマシタトモコ

以前から好きだけどこの数年で、ヤマシタトモコさんは私にとってすっかり特別な作家の1人になった。年に1回くらい、そろそろまた新鮮に読めるかな?って本棚から取り出して読んで、やっぱり私この漫画が大好きだー!って転げたくなる本が多い(そのルーティンをつい最近もやった)。そういう漫画家さんです。
昨年完結した「WHITE NOTE PAD」*1も大好きだったので、新作もとても楽しみにしてたんですが、この「違国日記」もやっぱり、とても好きな作品になりました。

「違国日記」は、両親を事故で亡くした高校生の「朝」と、その叔母である「槇生」が一緒に暮らし始める、つまり違う国の住人どうしが、一つ屋根の下で折り合いをつけていく物語。
槇生が不躾な親族に啖呵をきるシーンとか、少し気恥ずかしいほどにかっこいいのだけど、それは槇生が少女小説家という設定とあっているようにも思う。世代的に私は槇生の視点で読み始めていたので、だから大人になっても「国」を持つことは許されているんだなと思えるお話なのが心強いと感じました。
けれど、両親の死を「悲しめない」と戸惑う朝への対応や、友達からのメールへの返信になやむ場面などを読むうちに、これは特に「朝」の世代の子に読んでほしい漫画だと強く思った。
児童文学にはこういった、親がわりの存在と関わる物語って普遍的にあるけれど、漫画で扱われるのは近年そう多くないんじゃないだろうか。仕事柄「朝」の世代の子どもと関わることが多いのですが、「家族」を無条件に正しいものとして描かないお話というのは、特に今必要とされてるんじゃないかな、と思っています。
他人の前で感情を強制されないということの自由さ、別々の国に生きていることをそのまま肯定しているかのような心安さが読んでいて気持ちいい。彼らがこれからどのように国交を深めていくのか、続きがとても楽しみです。