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ichinicsの主にマンガ日記

『1122』1巻/渡辺ペコ

2013年に完結した『にこたま』に続いて“夫婦”のあり方について描くお話になると思われる『1122』(と書いていいふうふ、と読む)1巻を読みました。
『にこたま』は、個人的には「過渡期にいる女性たちの物語」だと思っていて、子どもから母親へ、彼女から妻へ、と移り変わる過渡期にいる女性達の間にいる男性が、自分もまた移り変わらなければならないと決断をするお話だったかなと思います。
特に子どもを持つ、持たない、持てない、でも……という部分について作者が真摯に考え抜いた先の物語だなと感じたのが印象的でした。

『1122』は、仲がよいけれどセックスレスで、夫は妻公認の不倫をしている…という夫婦のお話。
妻の性欲はずっと「凪」の状態だったのだけれど、夫が不倫相手に恋をしていることを感じ始めてから、徐々にそのパワーバランスが変わっていく…というのがすごくリアル。
許可しているのは自分だ、というところに安心していたけれど、「でもさ、彼らの恋愛を いちこがドライブできるわけじゃないからね」って言われるところ、ああ恋愛って生き物だなあと思って怖くなった。
そもそも、その「公認不倫」が始まったのは、夫婦の間にある愛と性欲の結びつき方のズレが原因だった。

そうだよ「セックスくらい」のはずだった
のに
めんどくさがってないがしろにしているうちに
どんどんややこしく特別なものになってしまった
p93

逃げるは恥だが役に立つ』は契約結婚から恋愛結婚へと移行する過程で恋愛を免罪符にせずに互いの役割分担を話し合うというところが画期的なお話だったと思いますが、『1122』は、恋愛結婚から契約結婚に以降する課程で失われたものが妻と夫で異なっていた…という話になるのかもしれないなと思っています。

わたしが見たいのは
生きたいのは
“めでたしめでたし”のその先
そのずっと先なのです

という1巻ラストの言葉がとてもよかった。その先がどう描かれるのか、続きを楽しみにしています。

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