「LINBO THE KING」1巻
『千年万年りんごの子』の田中相さんが描く近未来アクションSF。
物語の舞台となる2086年のアメリカでは、かつて多大な犠牲者を出した、人の記憶を食い荒らす奇病「眠り病」が再発しつつあった。
任務中に片足を失うという事故にあった主人公は、その眠り病を治療する「ダイバー」の「コンパニオン」にスカウトされる。
- 作者: 田中相
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/01/06
- メディア: コミック
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会えばわかると思うよ、と言われて半信半疑で会いに行き、「そう」だとわかる場面はとても印象的でぐっときます。しかもこの2人がまったく正反対のタイプでそういう対称的な2人が運命のタッグってすごくいいですよね…。
1巻では2人が始めてのダイブに挑むまでが描かれているため、眠り病の治療過程についてはまだ詳しく描かれていないのだけど、どうやらダイバーとコンパニオンは2人1組で治療に当たるという仕組みになっていて、ダイバーには人の記憶に関与できる能力があり、コンパニオンにはダイバーを現実世界に連れ戻す能力があるようです。
その記憶世界の不気味さ、特に「連想の扉」の場面などはとても見ごたえがあるので、「記憶」の世界を扱った作品、例えば三宅乱丈『ペット』や映画『インセプション』などが好きな人にはぜひおすすめしたい作品です。
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この作品は1巻が出る前に友人から「バナナフィッシュ好きなら」とオススメされた作品でした。
そのときは田中相さんでバナナフィッシュ? と少し疑問に思ったのですが、確かにアメリカを舞台に描かれていることや主人公たちの会話のテンポ感など、雰囲気はバナナフィッシュなどの、80年代後半にあった海外を舞台に描かれる少女マンガに近いところがあると思いました。
というところでふと昔コミティアで買った田中相さんの本を見返してみたら、それもアメリカが舞台だったので、きっと暖めてきた舞台設定なのだろうなとも思います。
テーマ的にも物語の雰囲気としてもとても好みの作品なので、続きがとても楽しみです!
「ACCA13区監察課」6巻(完結)
ACCA13区監察課(6)(完) (ビッグガンガンコミックススーパー)
- 作者: オノ・ナツメ
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2016/12/24
- メディア: コミック
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しかし、ジーンの友人でもあるニーノのもう一つの顔と、ジーンの生い立ちが明らかになってがらりと雰囲気が変わった。
特に、この最終巻で視察される2つの地域の対照的な姿は印象的です。これまで視察してきた地域が丁寧に描かれていたのもこの完結に向けてだったのか、と圧倒される思いでした。
登場人物が多い作品ながら、それぞれにしっかりと役割があるのも良かったなぁ。「ACCA13区監察課 P.S.」という番外編の連載も始まるとのことで、そちらではきっと本編では描ききれなかった背景が掘り下げられていくのだと思うとそちらも期待が高まります。
そして今月からいよいよアニメも放送開始。
完結巻まで読んで伏線を回収しながらアニメを見るも楽しみですが、アニメを見てから漫画で伏線回収するのもきっと楽しいと思います。
しかもこの作品にはかっこいい人がたくさん出てくるんですよね!
個人的にお気に入りだったモーヴ本部長が田中敦子さんなのが最高のキャスティングだと思っています!楽しみだー!
acca-anime.com
2016年の漫画!! まとめ&好きだったベスト10
2016年まとめ
2016年も面白い漫画をたくさん読みました。
昨年末に引越しをしたのですが、なぜか引越ししてから本棚がひとつ増えたんですよね。そしてその棚の半分くらいが既刊…という年でもありました。
新しく好きな作家さんを見つけると、その人の過去作全部読みたくなるのでそういうことになるのですが、今年は特にTLでおすすめされてたりしたのをきっかけに商業BLで新しく好きになる人が多かった。具体的には、紀伊カンナ(FEEL YOUNGでの新連載*1楽しみ)、はらだ、のばらあいこ、梶本レイカ、等々の既刊を買い集めたりしました。
それから今年は、長い連載の完結も多かった。
中でも「それでも町は廻っている」と「第七女子会彷徨」の2作品が終わった年、というのは感慨深かったです。両作品ともに毎巻楽しみにしていたので寂しさもあるのだけど、完結までほぼリアルタイムで追いかけられたことが嬉しくもあった。
「それ町」は9巻に出てくるべちこ焼きの話が本当に好きです。
それから自分が買い続けてた作品だと「おんなのいえ」「昭和元禄落語心中」「ぼくらのへんたい」なども完結でした。
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しかし2016年で何より忘れられない出来事といえば、吉野朔実先生が亡くなられたことです。
私にとって大島弓子と吉野朔実は学生時代からずっと特別な漫画家です。憧れもあいまって考え方にかなりの影響を受けたと思う。
本当に寂しいですが、これからも大切に、作品を読み返していきたい。
2016年の漫画ベスト10
10位「僕と君の大切な話」/ろびこ
「となりの怪物くん」のろびこさんの新作!
不器用な主人公2人のやりとりが本当にかわいかった。
2巻はまだかなー思ったら、作者さんが体調をくずされていたとのこと。11月に連載がされたと作者さんのブログにあったので、新刊を楽しみに待ちたいと思います。
- 作者: ろびこ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/03/11
- メディア: コミック
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9位「AIの遺伝子」/山田胡瓜
人間とヒューマノイドが共存して暮らしている世界を舞台に描かれる連作短編集。2016年だけで3巻まででていますが、どの巻にもぐっとくるお話があってすごい。
今年は「電王戦」の話題や、AIの書いた小説の話題、などAIの今後について考えることが多かっただけに、2016を象徴するような作品だったなと思います。
- 作者: 山田胡瓜
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2016/04/08
- メディア: Kindle版
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8位「昭和元禄落語心中」/雲田はるこ
今年出た10巻で完結。全10巻を俯瞰で思い出してみると、その構成の緻密さに驚かされる。2016年はアニメ化もあってからの完結で、その過程を追えたこともとても楽しかったです。
来年は2期があるとのことで、それもとっても楽しみです!
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7位「あげくの果てのカノン」/米代恭
今年初めて知った作家さんですが、個人的に「信仰」と「恋愛」の境目みたいなことに興味があるので、続きがとても楽しみ。
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6位「春の呪い」/小西明日翔
絵柄もキャラクター感情の描き方もとても好きな作品だった。
作者さんのインタビュー*2を読んで、もともと小説として書いていたお話だったと知り、腑に落ちたような気持ちにもなりました。今後がとても楽しみです。
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5位「A子さんの恋人」/近藤聡乃
1巻が出たのは昨年ですが、2,3巻が出た今年は特にTwitterなどでいろんな人の感想(というかA太郎派かA君派かみたいな話)を読むのが楽しかったので、2016年の1本!という感じがします。
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4位「推しが武道館いってくれたら死ぬ」/平尾アウリ
女アイドルを推してる女ヲタが主人公の物語。そりゃ主人公にはちょっとおかしいところもあるんですが、個人的には結構同意しかないんですよね…。
「推す」という感情に興味がある人にはおすすめですし、アイドルを推したことがある人には全力でおすすめです!
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3位「こいいじ」/志村貴子
ずーっと幼馴染に片思いをしているアラサーのまめちゃんの物語。、幾度か告白しているものの全て玉砕、その幼馴染は既に亡くなっている妻のことを今も思い続けている、という完全に勝ち目のない片思いのお話。
私は本当に、勝ち目のない片思いに打ち砕かれる感じのお話が好きでね…。心臓に悪いと思いつつ毎巻毎巻せつなくて転げまわってます。
特に今月でた5巻は「守る家族のあるひと対ないひと」のような構図になっていて、本当にしんどい…。でもとにかくめちゃくちゃ面白いのでおすすめです!
- 作者: 志村貴子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/12/13
- メディア: Kindle版
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2位「WHITE NOTE PAD」/ヤマシタトモコ
ヤマシタトモコさんの漫画はどれもすごく好みなんです。それは、たぶん、表情の描き方がすごく好きだからのような気がしていて、この作品や「花井沢町公民館便り」のように、その状況を経験したことがないようなお話でも、表情ひとつに気持ちが重なるような感覚がある。
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1位「コオリオニ」/梶本レイカ
読み終えてすぐ読み返して、それからもふと開いては冒頭から読み返してしまう作品だったし、何度読んでもその展開の緻密さと、ラストシーンの完璧さに驚かされる。
興味をもったときはあちこちで品切れで、手に取るまでかなり時間がかかったのですが、本当に読めてよかったなと思っています。
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2015年のベスト10はこちら
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「WHITE NOTE PAD」(完結)/ヤマシタトモコ
女子高生「葉菜」と中年男性「木根」の身体と心が入れ替わる、というところからはじまるお話。
今年は同じ男女入れ替わりもの作品でもある「君の名は。」が大ヒットしましたが、その感想として多くの人が挙げているポイントに、入れ替わっているときの声の演技がすごい、ということがあると思います。
この「WHITE NOTE PAD」は、それを「表情」を描くことでやっているような気がする。入れ替わる前のことはあまり描かれていないけど、その表情から、かつての身体でその表情を浮かべているその人が見えるような気がする。
ぱらぱら見返してても、あ、この顔好き、って思うところがたくさんある作品。
WHITE NOTE PAD 1 (フィールコミックスFCswing)
- 作者: ヤマシタトモコ
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2015/12/04
- メディア: コミック
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しかし2巻に入ると、2人の関係が変化しはじめる。
WHITE NOTE PAD(2) (FEEL COMICS swing)
- 作者: ヤマシタトモコ
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2016/12/20
- メディア: Kindle版
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その言葉を聴いた木根は、彼女のなりたかった彼女になってやりたい、と言う。
変化を恐れない「葉菜」と変化を恐れる「木根」。
見た目の自分と中身の自分が混ざり合って、相手を分身のように感じる、というその構図を、もちろん体験したことはないのに、読み進めていると実感できるような気持ちになっていく。
それは、物語を自分の中に取り込むということと、少しは似ているのかもしれない。
木根の方に年が近い自分としては、葉菜の若さが眩しくもあり、同時に、この物語に描かれているものが希望だと思うこともできる。
どれだけ他人と混ざり合っても、見た目が変わっても、やはり自分は自分でしかない。自分が自分であるという証明は自分にしかできない。誰にとっても、未来はまっさら。
そういう話だと思いました。
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しかし同時期に完結した「花井沢町公民館便り」もこの「WHITE NOTE PAD」も、誰も経験したことのないはずの設定ながら、読んでいるうちに引きずられて「自分だったらどうするか」と想像してしまうのが本当に面白かった。
ヤマシタさんこの時期連載3本あったはずなのに本当にすごい。好きです。
「花井沢町公民館便り」(完)/ヤマシタトモコ
2055年、シェルター技術の開発事故に巻き込まれ、生命体の出入りができなくなってしまった小さな町、花井沢町を舞台に描かれる連作短編シリーズ、完結巻です。
- 作者: ヤマシタトモコ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/09/23
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公民館が比較的きれいである間は、閉ざされた中でも希望をもって生きている人のお話が多いのだけど、この完結巻では1巻第1話から連続して描かれている「希」という女の子が最後の一人になるときが描かれている。
【以下内容に触れています】
最後の一人になったことと、町内の建物に倒壊の恐れがある、ということで、最終話では、希のために無人ロボットを使って家を建てるという案が持ち上がる。
希の恋人であり「外」の人間でもある総一郎と一緒に暮らすことが可能になり、それは希望のある話にも見えるのだけど、
境界の外にいる、自由な人間の生活を目の当たりにすることはやはり残酷で、つまり隔離された生活の不自由さや行動を制限されること以上に辛いことを知ってしまった瞬間でもあったのだと思った。
変化していく町の姿は「これ以上変化できない」という辛さでもある。
最終巻になってようやく描かれる、それが起きる直前に、町の外で「花井沢出たいんだよねまじ」と語っている女の子の様子など、まるでエンドロールを見ているかのようなとりかえしのつかなさがあって、
最終話まで読み終えた後に1巻を読み返してみて、1話の時点で予言されていたことを思い出し、本当に丁寧に組み上げられた物語だなと感じました。
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しんどいお話でしたが、巻末の2ページ漫画にそれを描く、というのが作者らしいな、と思った。
昭和元禄落語心中(完結)/雲田はるこ
明るく憎めない元ヤクザの主人公が落語家に弟子入りするお話。その現代パートと師匠である八雲の過去パートが併走するような構成になっていて、全10巻を追いかけている間とても楽しかったです。
- 作者: 雲田はるこ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/09/07
- メディア: コミック
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とりわけ現在の八雲と過去の八雲(菊比古)を演じ分ける石田彰は、年老いた声と若い声、そしてその両者に共通する色気がすさまじく、もともと好きな声優さんではあるのですが、よくぞこの役をやってくれたと毎回、石田彰に対する感謝と敬意でいっぱいでした。
それから、たっぷり落語を聞かせてくれる演出も、私のような落語初心者にはとても嬉しかったです。
1期の終盤、ああこの話すごくいいな、と思ったものがかの有名な「芝浜」で、たしかその芝浜きっかけで落語にいってみようと思い立ち、渋谷らくごに行ったりもしました。
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最終回の巻末には渋谷らくごについてのエッセイコミックもついています。
そうやって、物語に新しいものをしるチャンスをもらえるってすごくありがたいことだ。
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完結巻には、芸に生きた人の業ともいえるような世界が広がっていて、中盤は泣き通しだった。
作者はいつからこの景色を思い浮かべて書き進めていたのだろう。改めてマンガ家ってすごい仕事だなと思います。
そして2017年にはアニメの2期が始まるとのこと。こちらもとても楽しみ!です!
ほんと落語というものへの入り口をこの作品にもらえてよかったなと思っています。
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1,2巻の感想
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「春の呪い」1,2巻(完結)/小西明日翔
作者の方のTwitterやpixivをみていて気になって買った作品。
1巻を読み終えた時点でめちゃくちゃ続きが気になっていて、24日の発売日に即買いに行きました。
- 作者: 小西明日翔
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2016/04/25
- メディア: Kindle版
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春の呪い 2 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
- 作者: 小西明日翔
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2016/12/24
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主人公の夏美と妹の春は、けして円満とはいえない家庭で、身を寄せ合うようにして生きてきた仲の良い姉妹だった。しかし妹は亡くなり、自分と妹の婚約者が残された――というところから物語がはじまります。
夏美にとっての春は「唯一の家族」だった。だからこそ、その妹を奪った存在として妹の婚約者である冬吾を疎ましく思ってもいた。しかし、妹が亡くなったことをきっかけに、「春と冬吾がデートで巡った場所を訪れる」という形で交際をはじめ、春への罪悪感に苛まれながらも、それぞれに、これが終わらなければいいと願い始めるところで1巻が終わる。
読んでいる間ずっと、つらい、おもしろい、でもつらい…という気持ちを行き来していた。
それは2巻になっても変わらないのですが、読み終えてみると、1巻の時点で丁寧にたてられたプロットがあったのだろうな、と感じました。
例えば、夏美の妹への依存的な愛情に対してダメ押しのように突きつけられる言葉などは、本当に辛くて一度本を閉じてしまったくらいです。でもそれを示唆する描写は冒頭にすでに描かれていて、そのように登場人物たちの言動の答え合せをしていくような展開もすごく丁寧だなと思いました。
物語としてももちろん、すごく面白いのですが、この『春の呪い』の魅力はやはり漫画であるところにある、と思います。
主人公の夏美は特に表情豊かに描かれているのだけど、その表情の動きと感情の齟齬が積み重なっていき、それがやがて行動に結びつくという展開にすごくぐっとくるんですよね。これはデフォルメされた表情ならではの演出だなと思います。
それからモノローグも魅力的。
まるで性交渉の直後のような感覚だったが
妙な後味の悪さもあった
それは死んだ元婚約者に対する罪悪感なのだが
そのときはよく理解できなかったそして恐らくそのときが人生で初めて
他人に対して罪悪感を感じた瞬間だった
1巻p80
このモノローグがあるからこそ、冬吾という人の印象が決まるし、直接的には描かれなくても、やがて来る2人の関係の変化を示唆する伏線にもなっていると感じました。
漫画というおは絵と言葉と構成で出来ているものなんだなということを改めて感じる作品で、作者の今後の作品がますます楽しみになりました。
→
こちらで冒頭2話が読めます。
comic.pixiv.net